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「きららいん・いわて2021」講評                 種倉紀昭

 

 今年度24回いわて・きららアートコレクション展は、新型コロナ感染を避けるために、作品は公募し、会場展示と審査は中止して、パソコン、インターネットでの表記の作品展として公開になりました。協会のこの企画と判断とはご賢明だと思います。

 緊急時でなければ、展示会場でじかに作品を観てその質感や大きさや小ささ、大胆さや細やかさ、重量感や軽快感、刺激的なあるいは調和した配色、緊張したあるいはほのぼのとした雰囲気やフォルムやリズムなどを感じるのが一番良いのですが、今回は、公開ホームページの作品群を鑑賞者が自身の感覚を充分に研ぎ澄ませて良く観て、作者個人やグループの創作意欲や伝えたい思いや願いや情熱や特質を注意深く心で感じ取ること、制作の苦労の様子を想像力を働かせてイメージすることが私には大切だと考えました。

 作品は、それぞれ個性的で、内容や形式も様々です。使って、飾って楽しいもの、観て心和むもの、動物、植物、家族や施設の友だちや先生や職員の人たちと共に生きて過ごす幸せ、生きる不安や喜びが表現され、好きな食べ物や風景、街や山や海や雲、御経、有名人の名言、乗り物、歴史上の人物、協同制作の曼陀羅や屏風、ぬいぐるみ、刺繍やこぎん、バッグ、怪獣や魔人などが、絵に描かれ立体で作られて、多彩に多才に表現されています。  

これまでの人生で耐えてきたこと、関心とこだわり、歓びに感ずること、ひたむきに独自に獲得してきた表現の手立てと、衝撃的な純真さなどを根底に秘めた作品群に今回もまた、驚かされました。おめでとうございました。

今年も応募された多くの方が、大好きなモノや人、心の中の思いをテーマに、あるいは好きな人やコロナ禍で不安な思いをしている人のために作品を制作されています。総じて、作品一点一点はとても独創的ですが、なかには、年齢や性別を越えて共感を誘う作品や、新鮮なアイデアや視点に、眼を開かされるような作品もありました。野崎浩司さんの「ブレッドサンド」には、パンは種類によって味だけではなく形や色も様々に異なっていて、それも魅力のひとつなんだということに気づかされました。斉藤香織さんの「肉祝!!」のストレートな愛情表現には脱帽です。人と人との関係を通じて生まれた素敵な作品だと思いました。佐々木信悟さんの「僕の奥中山高原」や、高橋美穂子さんの作品は、それぞれ優しいタッチでご自身の周囲を題材に描かれており、観る人を温かい気持ちにさせます。

 個性豊かな作家さんたちが生み出す、多彩な色や形にも魅了されました。青色が印象的な水沼久直さんの作品からは、富士山のもつ様々なイメージが喚起されますし、いずれも抽象画である千葉健一さんと中川静子さんの作品は、優しい色彩や様々な形が美しく調和した画面が見事です。また、カラフルなトゲトゲがユーモラスな千葉朋也さんの「蟲」のほか、切ないタイトルにキュンとさせられる、菊池菜緒さんの「水色の恋」は、毛糸を使って微妙な色彩を表現するというもので、そのアイデアに驚きました。

最後になりましたが、協会のみなさんや支援者の方々のご尽力により、インターネットによる作品展が準備され、画面越しではありますが、多くの作品を拝見できたことに心から感謝します。いろいろな活動が制限され、新しい日常が叫ばれる状況下、制作活動を続けている作家さんや、それをサポートする方々の存在を感じ、心強く思うとともに、この作品展が多くの人の眼に触れることで、改めて人との繫がりや表現の力というものを考える機会になることを願っています。

 

岩手県立美術館 盛本直美

いわて・きららアートコレクションによせて

 みなさんの作品を会場で見ることを楽しみにしてました……

 ウイルスの世界的大流行は、私たちの日常を破壊し続けています。悲しいことがたくさん報じられています……

 出品者の方々の作品を、オンラインを通して見ました。

 一心不乱に作品制作をしている姿を想像しながら見ていると心が暖かくなりました。

 楽しい気持ちで制作した作品は、絵を通して見る人に徐々に伝わるのです。

 素直に自分のありのままの気持ちを画面にぶっつけて気楽に描いたり、作ってください……

 その時、その人だけの個性が輝く……

 大胆に、のびのびと表現することがキイポイント……

 自然は美の無限の宝庫……

 皆さんの元気のある作品に会うことを楽しみに……

​                       熊谷 行子

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